正しいウォーキングについて(産業衛生シリーズ)

本コラムは、日頃の産業医活動の中で行なっている講話から、一部をご紹介するものです。健康経営※に取り組む皆様のお役に立ちますと幸いです。

 

毎年9月が『健康増進普及月間』とされていることをご存知でしょうか。
生活習慣病の特性や運動・食事・禁煙など個人の生活習慣の改善の重要性についての国民一人一人の理解を深め、さらにその健康づくりの実践を促進するため、厚生労働省は9月1日から30日までの1か月間を健康増進普及月間とし、食生活改善普及運動と連携して、全国で様々な行事が実施されています。
今年の統一標語は「1に運動 2に食事 しっかり禁煙 良い睡眠 ~健康寿命の延伸~」です。

暑さも和らいでくるこれからの季節。すぐに取り入れやすい運動として、今回は正しいウォーキングについてご紹介します。

 

いつもよりちょっと早歩き、いつもよりちょっと歩幅を広げて

ハーバード大学が歩行速度と健康寿命の関連性について行った調査では、通常時速3.2km未満で歩く人に比べて、時速3.2〜4.8kmの人は1.9倍、時速4.8km以上の人は2.68倍も健康寿命が長いことが報告されています(Sun et al. 2010)。つまり、速く歩くことで健康寿命を延ばせる可能性があるのです。時速4.8kmとは不動産物件で徒歩〇分と表示されている算出方法で、約4mを3秒で歩く速さということになります。

そして歩幅は、普段歩く時より10~20%程度歩幅を広げて歩くようにしましょう。歩幅を意識しすきなくてもスピードを上げるだけで自然に歩幅は広がります。普段10分で歩いているところを8~9分で歩くイメージです。目線を上げ、胸を張り、腕を大きく振るだけで正しい姿勢で歩くことができます。

  

まずは+10(プラス・テン)から

健康づくりのために厚生労働省が推奨している今より10分多く体を動かす「+10(プラステン)」で、1日10分間の運動習慣をつけ健康寿命をのばしましょう。有酸素運動としての効果が得られる早歩きで、生活習慣病の発症リスクを下げることができます。10分だと通勤や買い物などの移動時間にも取り入れやすく、少し汗ばむくらいの運動強度で充分に効果がありますよ。基礎代謝を上げやすい季節である秋にこそ始めてみませんか。

参考:厚生労働省「健康寿命をのばそうSMART LIFE PROJECT」

参考:国土交通省「歩く」内、(社)日本ウォーキング協会「人も社会も元気にするウォーキングの効用と魅力」

 

参考文献 

Sun, Q., Townsend, M. K., Okereke, O. I., Franco, O. H., Hu, F. B., & Grodstein, F. (2010). Physical activity at midlife in relation to successful survival in women at age 70 years or older. Archives of internal medicine170(2), 194-201.

 

※健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

 

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