本コラムは、日頃の産業医活動の中で行なっている講話から、一部をご紹介するものです。健康経営※に取り組む皆様のお役に立ちますと幸いです。
今回は花粉症についてのお話です。
花粉症の約70%を占めるスギ花粉が飛散するピークは、2月下旬~4月中旬と言われています。
例年アレルギーの症状が出ているようであれば、症状が出る前に対策をすることで症状を軽減することができます。
今年の花粉飛散情報
2025年のスギ花粉の飛散が開始する時期は例年並みのようです。
九州や、四国・中国・東海・関東の一部では2月上旬にはスギ花粉の飛散が開始する見込みです。
スギ花粉は、飛散開始と認められる前からわずかな量が飛び始めるため、早めの対策が重要と言えます。
2025年春の花粉飛散量は、昨年と比べると、九州から近畿と、東北南部などでは2024年に比べて大幅に増加する見込みと言われており、早めに医療機関にかかるなど花粉症の方は万全な対策を行う必要があります。
花粉症の治療について
花粉症の治療には主に2種類あります。
ひとつは対症療法という花粉症の症状にアプローチする治療で、抗アレルギー剤の内服薬や点眼薬、点鼻薬などを用います。花粉の飛散が多くなるおおよそ2週間前から治療を開始することが有効とされているので、まさにこの時期から開始するのが望ましいです。
もうひとつは花粉症の根本的な治療を目指すアレルゲン免疫療法という治療方法です。薬を毎日服用する舌下免疫療法や週2~月1回通院して皮下注射する方法等があります。こちらの治療法は花粉が飛んでいる時期には開始することができず、長期間の治療が必要となります。
自分に合った治療方法ついて医師に相談するようにしましょう。
自分でできる対策
花粉症を予防するための基本は「花粉との接触を避ける」ことです。
自分でできる対策としては以下のような方法があります。
・外出時は、マスクやメガネなどを着用する
・衣服は花粉がつきにくい表面が滑らかな化学繊維の物を選ぶ
・髪の毛へ の付着を防ぐため帽子着用も効果的
・コートを外で脱ぐ
・手洗い・洗顔やうがい、鼻をかむ
・帰宅後すぐにシャワーで花粉を落とす
・洗濯の際には柔軟剤を使用して静電気を防止する、室内干しにする
・部屋の加湿を心がけ、床に落ちた花粉を掃除する
・花粉が多い日の外出は避ける(晴れて気温が高い、空気が乾燥して風が強い日、雨上がりの翌日や気温の高い日が2~3日続いた後)
また、睡眠不足やストレス、食生活の乱れなどによる免疫機能の低下は、花粉症を悪化させる要因になりますので、花粉症対策と共に生活習慣についても気を配るようにしましょう。
さらに詳しく知りたい方は、環境省・厚生労働省の「花粉症対策 スギ花粉症について日常生活でできること」をご参照ください。
参考:
1 2025年 春の花粉飛散予測 日本気象協会tenki.jp
2 保健・化学物質対策 花粉情報サイト 環境省
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