代表の稲田礼子です。
本コラムは、私が日頃の産業医活動の中で行なっている講話から、一部をご紹介するものです。健康経営※に取り組む皆様のお役に立ちますと幸いです。
今回は運動についてです。
新型コロナウイルスの感染症対策としての外出自粛などで、自身を取り巻く日常が大きく変化しました。
テレワークが積極的に取り入れられるなど“新しい生活様式”が徐々に定着しつつある今日において、運動不足が懸念されています。
スポーツの実施状況等に関する世論調査(令和3年度、スポーツ庁)」によると、週1回以上運動・スポーツをする者の割合は、成人男女の平均で56.4%という結果が発表されています。さらに、週1回以上の運動について、20代~50代の女性で実施率が低くなっています。
図:スポーツ庁報道発表、令和4年2月25日
では、どのように運動を増やしていけばよいでしょう。
皆さんMETsという単位知っていますか?
METsとは?
METsは身体活動の強度を表す単位で、安静時(横になったり、座って楽にしている状態)を「1」とした時と比較して、その活動が何倍のエネルギーを消費するのかが分かります。
厚生労働省(健康づくりのための身体活動基準,2013)では、生活習慣予防や生活機能低下防止のために、強度が3 METs以上の身体活動を1時間以上、1週間合計で23 METs、具体的には歩行又はそれと同等以上の強度の身体活動を毎日60分以上行うことが推奨されています。
普段の活動を工夫してみましょう
日常生活における身体活動をMETsでみてみると、思った以上にエネルギーを消費する活動があることに気づきます。
例えば、「掃除機をかける」は3.3METs、「風呂掃除をする」は3.5METsで、これらは「軽い筋トレをすること」に相当します。家事も運動であると意識するとダイエットにもつながり、楽しく取り組むことができそうです。
また、ウォーキングは有酸素運動の一つで、脂肪燃焼や生活習慣病の予防、脳の活性化などに効果的です。
ゆっくり歩くと2.0METsですが、やや早歩きすると3.5METs、通勤・通学での歩行は4.0METs、ベビーカーを押しながら、または子どもと一緒に歩くと4.0METsになり、歩く速度や負荷により約2倍のエネルギーを消費できることになります。
立春も過ぎて段々暖かくなってきます。ウォーキングにはいい季節ですね。まずは今実施している活動量を把握し、少し負荷を高めるなど、出来るところから始めてみませんか。
画像:スポーツ庁より
※健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。