本コラムは、日頃の産業医活動の中で行なっている講話から、一部をご紹介するものです。
健康経営※に取り組む皆様のお役に立ちますと幸いです。
今回は「冬の血圧管理」についてご紹介します。
急激な温度変化に要注意
気温が下がる影響を受けて、冬は夏より血圧が高くなります。
加えて、暖房の効いた部屋とそれ以外の場所との急激な温度変化には特に注意が必要です。
暖かい室内から寒い廊下やトイレへ移動したときや、冷え切った脱衣所で服を脱ぎ、急に熱い湯船に浸かったときなど、血圧が乱高下することで健康被害を引き起こす現象をヒートショックと呼びます。
ヒートショックは脳卒中や大動脈解離、心筋梗塞などを誘発し、最悪の場合、入浴中に意識を失う恐れもあるため注意が必要です。
脱衣所やトイレをあらかじめ暖めておく、お風呂からゆっくり立ち上がるなど、血圧の乱高下を防ぐ工夫が大切です。
詳しい記事はこちら:ヒートショックについて(産業衛生シリーズ)
冬の血圧管理のポイント
室温に注意する
WHO(世界保健機関)では、冬の室温を18℃以上に保つことが推奨されています。
室温が下がると、私たちの体は熱を逃がさないように血管をギュッと収縮させます。
この「血管の縮み」が血圧を押し上げ、心臓や血管に大きな負担をかけてしまうのです。
また、意外と見落としがちなのが寝室の温度です。
寝室が冷え切っていると、眠りが浅くなり睡眠の質が低下するだけでなく、起床時の急激な血圧上昇を招くリスクもあります。
日本の家の平均気温(冬)は居間が16.8℃・脱衣所が13.0℃・寝室が12.8℃とされています(2019年)。
お湯を張り蓋を開け、お風呂に入る前に浴室のとびらを空けておいて脱衣所の室温との差を減らすなど、居住空間全体の室温を上げる・極端な変化が起こらないように工夫しましょう。
美味しい減塩を意識する
冬は温かい「鍋料理」や、お正月料理などの「保存食」を食べる機会が増え、知らず知らずのうちに塩分(ナトリウム)を摂りすぎてしまいがちです。
塩分を摂りすぎると、血液の浸透圧を一定に保とうとして、血液中の水分を増やします。
すると、体内を循環する血液量そのものが増加し、血管に強い圧力がかかるために、血圧の上昇に繋がってしまいます。
減塩を無理なく続けるコツは、調味料を「置き換える」こと。
醤油やソースを少し控える代わりに、以下のものを活用してみましょう
・旨味を活かす:香味野菜・出汁を活用するなど、食材のうまみを引き出すレシピがおすすめです
・酸味や香辛料を加える:お酢・レモン・生姜・ケチャップなどで、味にアクセントを加えると、無理なく塩分の量を減らすことができます
野菜や果物でカリウム摂取
野菜や果物に多いカリウムは、塩分を体外へと排出する働きがあります。
特に冬の野菜にはカリウムが多く含まれているので、旬の野菜を活用しましょう。
冬野菜: 大根、白菜、ほうれん草、小松菜、ブロッコリー
根菜類: さつまいも、里芋、ジャガイモ
果物: みかん、りんご、バナナ
冬の血圧管理は「温度」と「食事」の両面から
寒さが厳しい冬は、少しの工夫が健康を守る大きな鍵となります。
お部屋の温度を18℃以上に保ち、食事では減塩とカリウム摂取を意識して、健やかな毎日を過ごしましょう。
参考:
※健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です

