脂質の摂りすぎに要注意。イベントシーズンを乗り切る脂質管理のコツ(産業衛生シリーズ)

本コラムは、日頃の産業医活動の中で行なっている講話から、一部をご紹介するものです。
健康経営※に取り組む皆様のお役に立ちますと幸いです。

12月はイベントが多く、つい糖質や脂質を摂りすぎてしまいがちです。
今回は、そんな時期を乗り切るための「脂質管理」についてご紹介します。

健康診断で測る「血中脂質」

コレステロールはホルモンの材料になったり、全身の細胞膜の構成成分になったりと生きていくうえで非常に大切な役割を担っています。コレステロールは役割によってHDLコレステロールと、LDLコレステロールに分けられます。

HDLコレステロールは体内の余分なコレステロールを回収するため、少ないと血管内のコレステロールが回収できなくなり動脈硬化の原因にもつながります。LDLコレステロールは体内へとコレステロールを運ぶ役割があります。

そのため数値が低すぎると体内へ必要な量のコレステロールを運べていないことになります。高すぎると体内に過剰にコレステロールを運んでいることになり、動脈硬化などの疾患を誘発させる可能性があります。

≪血中脂質 (mg/dL)≫異常要注意基準範囲要注意異常
中性脂肪(トリグリセリド) 29以下30~149150~499500以上
HDLコレステロール(善玉)29以下30~3940以上  
LDLコレステロール(悪玉) 59以下60~119120~179180以上
総コレステロール 139以下140~199200~259260以上

脂質過多が引き起こす動脈硬化のリスク

血液中にLDLコレステロールが増えると、血管の内壁に沈着してこぶを作り、血管がかたくなります。
これが動脈硬化です。

動脈硬化が進むと血管の中が狭くなって血流が悪くなったり、こぶが破れて血栓と呼ばれるかたまりができ、心臓や脳に流れていき血管を詰まらせたりします。
血中のコレステロール値が高い状態が続くと動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中を起こしやすくなります。

日常生活で意識したい脂質管理のポイント

脂質過多を防ぐ3つの食べ方

コレステロールを多く含む食品ばかりに注目しがちですが、体内のコレステロールを増やしやすくするのは飽和脂肪酸を多く含む食品です。血液中のコレステロールは「肝臓で作られるもの」と「小腸で食事から吸収されるもの」の2つあります。

脂っこい食事が続いたり、コレステロールの多い食品を食べすぎると、小腸からの吸収が増え、血液中のコレステロールの値が上昇します。

  • 余分な油脂(飽和脂肪酸)をとらない
    • 揚げ物を食べる回数を減らす
    • バターやクリームなどの油脂を含むお菓子、ショートニングなどの加工油脂を使った加工食品を減らす
    • ケーキや菓子パン、クッキー、ドーナツ、デニッシュ等
    • 魚を食べる回数を増やす
    • 肉は脂身の多い部分(バラやロース、鶏皮など)よりも赤みを選ぶ
  • 食物繊維をたっぷりとる
    • 野菜の量を増やす(1日350g以上が目安)
    • 大豆や大豆製品、海藻やきのこの量を増やす
    • 主食にはより精製度の低い穀類(玄米など)や
    • 雑穀入りを選ぶ
  • 抗酸化ビタミンをたっぷりとる
    • 緑黄色野菜の量を増やす(1日120g以上が目安)
      かぼちゃ、トマト、にんじん 、ほうれん草、ブロッコリー、ピーマンなど

運動習慣の見直し

運動は中性脂肪を低下させ、HDLコレステロールを上昇させる働きがあります。
2005年までの国内外の運動に対するHDLコレステロールの効果を検討した研究結果から、HDLコレステロールを増加させることができる運動・身体活動の最低条件として、1週間に合計120分間の運動を行うか1週間に合計900kcalのエネルギーを消費する身体活動を行わなければならないことが明らかとなりました。
まずは無理のない範囲で少し運動量を増やす工夫をしてみてください。

運動に慣れている人、あるいは慣れて来た場合は、中強度の有酸素運動(ウォーキング、速歩、水泳、スロージョギング;歩くような速さのジョギング、自転車、ベンチステップ運動など大きな筋をダイナミックに動かす身体活動)を行うと、しっかりと1日の活動量を確保することができます。

まとめ

脂質の摂りすぎ対策として、食事の改善と運動を組み合わせることにより、より一層効果が期待できます。
大切なのは、できることから細く長く続けていくことです。
ぜひ無理のない範囲で生活に取り入れてみてください。

※健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です