身体症状とうつ病(産業衛生シリーズ)

本コラムは、日頃の産業医活動の中で行なっている講話から、一部をご紹介するものです。健康経営※に取り組む皆様のお役に立ちますと幸いです。

今回はうつ病と関連する身体症状についてご紹介します。

抑うつ状態が続くとき、表に出てきやすいサイン

気分の落ち込みなど、抑うつ状態が続くときには大きく3つの側面で変化が現れます。
特に身体面は自分自身で自覚しやすく、「最近顔色が悪いけどなにかあったの?」など、周囲から声をかける際にも伝えやすい症状です。

上記の他にも、様々な身体症状がうつ病と関連することが知られています。

  • 眠れない
  • 朝、目覚ましよりも早く目が覚める
  • 寝た気がしない
  • 食欲がない(または増加)
  • 何を食べてもおいしくない
  • 体重減少(または増加)
  • からだがだるい
  • ひどく疲れる
  • からだが重い
  • 月経の不調、性欲の低下、勃起の障害
  • 頭や肩、腰、背中などの痛み
  • 便秘、下痢、むかつき
  • 心臓がドキドキする、息苦しい
  • 耳鳴り、めまい、ふらつき

だらだら続く身体症状は「仮面うつ病」かも?

仮面うつ病とは

うつ病は、精神症状が一般的ですが、なかには身体症状の方が前景に現れるケースも少なくありません。身体疾患の仮面をかぶったうつ病という意味で、仮面うつ病と呼ばれています。主体となる苦痛が身体症状となると、内科、産婦人科、などの心の専門医以外の診療科を受診し身体疾患として治療を受けてしまうこともあります。

厚生労働省 こころの耳

うつ病に起因して辛い身体症状が出ている場合、内科に受診しても「(体は)どこも悪くない」と言われ、原因がわからないままだらだら症状が続いてしまうこともあります。
原因がはっきりしない身体症状が続く場合は、行動や心理面に変化がないか、振り返ってみることが大切です。

うつ病かもと思ったら

「元気なときの自分じゃないな」と気づいたら、うつ病のサインかもしれません。
特に眠れない(もしくは寝すぎる)・趣味が楽しめないなどの変化があるときには要注意です。

うつ病の症状をみて心当たりがあると感じた方は、睡眠環境を整えて十分に睡眠をとる、深呼吸やストレッチなどのリラクゼーションを試すなど、意識して休養をとるようにしましょう。
休む時間を確保するためにも、家族や職場の上司などに相談しておくことも効果的です。

また、症状が続く場合には、医療機関や社内の相談窓口など、早めに専門家へ相談してください。

参考:

※健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。