本コラムは、日頃の産業医活動の中で行なっている講話から、一部をご紹介するものです。
健康経営※に取り組む皆様のお役に立ちますと幸いです。
今回は天候変化と自律神経の関係についてご紹介します。
天候変化と自律神経の関係

天候や気圧の変化によって、頭痛、肩こり、倦怠感、めまい、喘息、関節痛などの不調を感じる方がいます。
これらは「気象病」「気圧病」と呼ばれ、体が環境の変化にうまく対応できないことが原因とされています。
気圧の変化は内耳で感知され、自律神経に伝えられます。
自律神経は血管の収縮や拡張を調整して体調を保ちますが、この調整がうまくいかないと不調を引き起こすことがあります。特に血管が拡張して三叉神経を刺激すると、頭痛の原因になります。
自律神経の仕組み
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、活動と休息をバランスよく切り替える役割があります。
しかし、現代ではストレスや生活習慣の乱れから、この切り替えがうまくできない人が増えています。
さらに気圧の変化が加わると、心身の不調が現れやすくなります。
天候に左右されにくい体づくりのためには、以下の3つの視点が大切です。

① 予防:有酸素運動やストレッチ、耳のマッサージなどで体調を整えておきましょう。
② 予兆:不調のサインを感じたら、十分な睡眠と休息をとりましょう。
③ 予測:天気予報やアプリで気圧の変化を把握し、早めに対処することが効果的です。
自律神経を整えるリラクセーション法
耳ストレッチで内耳の血流を促す

内耳の血流をよくするストレッチで不調を予防できます。方法は以下のとおりです。
① 両耳たぶを軽く横に引っ張り数秒キープします。
② これを数回繰り返した後、両耳たぶを前後・斜めにぐるぐると回します。
副交感神経を優位にする「腹式呼吸」

① 仰向けに寝てお腹に手を置きましょう。
② 鼻からゆっくりと息を吸い、数秒息を止めた後、長い時間をかけて口からゆっくり吐きます。
これを繰り返すことでリラックスしやすくなります。
さいごに
規則正しい生活や軽い運動は、気圧変化による不調の予防に役立ちます。
ただし、症状がひどい場合や長引く場合は、病院で相談しましょう。
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