女性と骨粗鬆症の関係について(産業衛生シリーズ)

本コラムは、日頃の産業医活動の中で行なっている講話から、一部をご紹介するものです。
健康経営※に取り組む皆様のお役に立ちますと幸いです。

今回は「女性と骨粗鬆症の関係」についてご紹介します。

 

骨粗鬆症は閉経後の女性で発症しやすく、日本人女性のうち60代では5人に1人、80代では2人に1人が骨粗鬆症といわれています。

健康増進法により、40~70歳の女性では、5歳毎に骨粗鬆症検診が受けられますが、実施率は5%程度と低く推移しています。骨粗鬆症について知り、生活習慣の改善や検診を受けるなどの適切な対策が健康寿命を伸ばす上で大切です。

骨粗鬆症とは

骨密度が小さくなる、骨の質が低下することで骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。骨粗鬆症は自覚症状がないので、気づきにくいのも特徴です。

しかし、骨粗鬆症によって骨がもろくなることで、つまずいたり、とっさに手をついたときなど、何気ない瞬間にも骨折しやすくなってしまいます。

特に大腿部(太もも)を骨折すると、寝たきりにつながりやすく、寝たきりになることで認知症に進行してしまうこともあります。

骨粗鬆症の原因と予防方法

骨粗鬆症の最も大きな原因は加齢による骨量の低下ですが、女性の場合は閉経による女性ホルモン低下の影響を大きく受けるということがわかっています。

その他、遺伝や喫煙・多量飲酒・運動不足といった生活習慣、痩せなども骨粗鬆症の原因となります。
骨粗鬆症を予防するためには、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなど骨を形成するために必要な栄養素をしっかりと摂取することが大切です。

また、カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、紫外線を浴びることで体内でもつくられるので、日光浴も骨粗鬆症予防には有効です。

紫外線による肌への影響などが気になる所ではありますが、夏でも日焼けしない程度に屋外で適度な日光浴をすることでビタミンDが生成されます。

それぞれの栄養素を多く含む食品

カルシウム牛乳・乳製品、小魚、干しエビ、大豆製品、小松菜、チンゲン菜など
ビタミンD魚(イワシ、サンマ、シラス、ブリ、鮭など)、干し椎茸、きくらげなど
ビタミンK納豆、色が濃い葉野菜(小松菜、ほうれん草、モロヘイヤ、ブロッコリーなど)

骨粗鬆症健診について

骨粗鬆症の測定方法はいくつか種類がありますが、背骨や太ももの付け根、前腕などの骨密度をX線で測定する「DXA(デキサ)法」が推奨されています。

骨粗鬆症検診の対象は40~70歳の女性ですが、お住いの自治体によって、受けられる場所が異なり、対象の性別や年齢を拡大しているところもありますので、受診方法については、各自治体のホームページなどで確認してください。

若い頃からの生活習慣で注意が必要

骨粗鬆症を予防するためには、若い頃からの対策が重要です。女性の場合、20~30代の約2割がBMI18.5未満の「瘦せ」と言われており、痩せは骨粗鬆症のリスクを高めます。

また、妊娠や出産は骨の代謝が変化しやすく、非常に稀ではあるものの妊娠後骨粗鬆症を患う人もおり、現在研究が進められているようです。骨粗鬆症予防の為にも、過度なダイエットは避け、適度な運動やバランスの良い食事を心がけましょう。

骨粗鬆症検診は乳がん検診や子宮頸がん検診と比べても受診率が低く、若い頃からの対策が必要である認識が乏しい現状にあります。

従業員に対して骨粗鬆症の予防対策を啓発することや受診勧奨することも、健康経営の取組のひとつと言えるでしょう。

参考:
豊かな人生に丈夫な骨づくり 骨粗しょう症について 公益財団法人 骨粗鬆症財団

※健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です