実践!健康経営~I-QUON社長にきく「これからの女性の健康促進」~

弊社では、健康経営※に積極的に取り組み、自社の活動内容の発信も行っています。

近年、働く女性の増加やライフステージに応じた健康課題への関心の高まりを背景に、「女性の健康」が社会全体で大きな注目を集めています。
経済産業省でも「女性の健康施策の効果検証プロジェクト」が立ち上がるなど、企業における女性支援のあり方が問われています。

弊社もこのプロジェクトに参加しながら、女性の健康経営に本格的に取り組んでいるところです。
特に今年度からは、運動やVDT作業環境改善、コミュニケーション促進、食生活改善に加えて、女性特有の健康課題に目を向け、従業員一人ひとりが自分らしく働ける環境づくりを進めています。

そこで今回は、I-QUONの考える女性の健康促進について、代表取締役社長の稲田礼子の考えを聞いてみました。

Q. 健康経営を踏まえた「女性の健康支援」に重点的に取り組み始めたきっかけを教えてください。

当社は社員6名中5名が女性という構成で、
私自身も女性として、また産業医として働く女性の健康課題に日々向き合ってきました。

ご存知の通り、日本の労働力における女性の比率は近年大きく上昇しました。
しかし、実態を見ると、「30代~40代で一度職場から姿を消す」方が多く、復職してもフルスロットルには戻りづらい。
この“いない化”は偶然ではなく、妊娠、出産、更年期といった生理的なライフイベントに加え、
子育て、介護といった自分以外の人の補助的な生活が連続的に襲ってくる時期と一致します。

そして、これらの健康課題はプレゼンティーズム(出勤しているけれどもパフォーマンスが低下している状態)として企業の生産性をじわじわと浸食しているのです。

例えば、月経前症候群(PMS)や生理痛による労働損失コストは年間4,900億円とも言われています。
また、更年期による集中力や記憶力の低下が管理職層に多くあらわれることで、企業の知的資本にも深刻な影響を生じてしまいます。

これらの女性特有の課題は想像以上に個人差が大きく、周囲の理解や職場の柔軟性が不可欠です。
弊社は小さな会社だからこそ、ひとりの体調の変化が組織全体に与える影響も大きく、「誰かが我慢して回っている」状況を放置せず、支援につなげたいと考えたのが取り組みのきっかけです。

健康経営担当者

小規模な事業所だからこそ、
ひとりひとりが健康に働くことが重要になってくるんですね。

稲田礼子社長

小規模ゆえに人員的余裕がなく、
誰かが休むと業務に直接的な影響が出てしまいます。
そのため、「無理をして出勤する」「体調不良を言い出しにくい」空気が生まれやすいことが課題です。

また、制度を整備するにもリソースに限界があります。
ただ、小さい組織だからこそ、制度よりもまず「気遣い」や「理解ある対話」を日常的に行えるという強みもあると感じています。

Q. 女性の健康支援に取り組む中で効果を感じていることはありますか。

はい、確実にあります。

女性の体調変化は他の人と比べることがなかなかできず、数値化もしにくいため、自分の体調がどのような状態なのかを確認し話せる機会が少ないと感じていました。
女性の健康支援に取り組むことでアンケートを取るなど、女性の健康管理が話題に上る機会が増え、相談しやすい環境を作ることが出来たと感じています。

婦人科検診の有用性はわかっていても受診できていない社員もおり、検診の金銭的補助を行うことにより受診のタイミングが意識でき、受診のハードルが下がったように思います。
子育て中の社員には柔軟な働き方を設定し、出勤曜日の変更を認め、子育てとの両立を支援することにより働きやすさを感じて仕事に集中してもらうことが出来ています。
また、時間外に対応が必要な夜間の仕事は積極的に男性社員が引き受けてくれることにより女性は帰宅時間を一定にすることが出来ています。

健康経営担当者

稲田社長が若い頃は、医師という立場もあり
大変だったのではないですか?

稲田礼子社長

私が大学病院勤務の時代には結婚した、妊娠したというだけで
「戦線離脱」といわれました。

同じような経験をさせないためにも、
「女性だからキャリアをあきらめる」などということがないよう、
弊社では能力向上には力を入れ、個人の持つ能力を
遺憾なく発揮できるよう、資格取得支援などにも力を入れています。

女性だからという遠慮はなしに相談できる文化が
根づいてきたように思います。
安心して働ける環境は、
モチベーション向上に直結していると感じています。

Q. これからの目標や、さらに女性の健康支援に取り組んでいくことで期待することはありますか。

今後は「女性のライフステージに寄り添う継続的な支援」をさらに充実させていきたいと考えています。

小規模事業所ならではの制度化の難しさはありますが、在宅勤務の可能性等も検討しさらに働きやすい職場環境を作っていきたいと思います。
お互いにサポートできる体制を整えるためにも、仕事が属人化しないようにマニュアルの整備や一定の業務水準達成への教育の徹底等行っていきたいと思います。

女性の健康支援を単なる福利厚生ではなく、「働く力を育てる基盤」として位置づけ、
社員一人ひとりが長期的に安心して活躍することで、企業収益、社会貢献に繋がることを期待します。

Q. 健康経営優良法人(ブライト500)として2年連続認定を受けている立場から、
「女性の健康経営」にこれから取り組もうとしている他の企業へのメッセージやアドバイスはありますか。

女性の健康支援というと「制度整備」「福利厚生の充実」といった大掛かりなものを想像されるかもしれませんが、まずは日々の声かけや、相談しやすい空気づくりからでも十分に始められます。
完璧を目指すより、「気づく」「聞く」「一緒に考える」ことを積み重ねることが大切です。
私たちも最初は手探りでしたが、小さな実践の積み重ねが大きな信頼につながることを実感しています。

また、健康経営の評価制度は、大企業向けの指標と思われがちですが、小規模でも真摯に取り組めばしっかり評価されます。ブライト500に連続選出された経験から申し上げると、企業規模ではなく、「本気度」と「現場での実践」が見られているのだと実感しています。

健康経営担当者

ありがとうございました。
最後に一言お願いします!

稲田礼子社長

私たちも勉強しながら、日々健康経営に取り組んでいます。
学んだことはブログや無料セミナーなどで発信していきますので
一緒にいきいき働き続けられる会社を作っていきましょう!

※健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。